小さな農場: 手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」




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食糧問題・食料問題のページ
〜100億人分の食糧をまかなえる世界で
なぜ8億の人が飢えるのか〜

小さな農場 〜自由と自立への道〜

小さな家族経営の農場は、地域、社会、そして国家を全体として支える大切な基盤だ。個人や家族による農場から構成された社会は落ち着いバランス良く安定しており、そして持続可能な社会であることが多い。それはこの地上における最も自然な社会のかたちといえるだろう。自作農が集まって作った地域社会は、強く安定した国となる。


(Christine Thery)
___
だけどこのように考える政府はほとんどない。今も昔も、権力者は違う考えで農民を統治しようとしてきた。洋の東西を問わず、小さな自作農民の歴史は、権力者による虐げと搾取の繰り返しだった。自立した農民が支える地域社会は、権力者や金持ちや貪欲な人たちが略奪するのに都合が悪かったのかもしれない。

古代ローマ社会をポエニ戦争の前と後とで比べてみるとよく分かる。戦争前は独立した自作農が頑丈な基盤となって安定した社会を支えていた。でもポエニ戦争の後は貴族や金持ちが大土地支配者として耕地を占拠し、奴隷を使って大規模農業を展開した。社会の心臓部をガンで侵された大ローマ帝国は基盤を失い、やがて滅びていった。

    「ローマ帝国の本来の強みは、中国と同じように、すぐれた家族経営農家にあった」-- 『Restoration of the Peasantries(農民の復活)』 by G.T. Wrench, Chapter 4 -- The Second Agricultural Path

    「もし初期ラテン農民の時代を訪れることができたならば、5エーカーを越えない小さな農場がひしめく農村の光景を見ることができるだろう」-- 『Reconstruction by Way of the Soil(土からの再建)』 by G.T. Wrench, Chapter 2 -- Rome

今では工業化が農村経済を崩壊させ、農民を都市部の工場やスラムに送り込み、経済成長と「発展」が押し進められている。そのため食糧を自給していた国は、食べものではなく「商品」の生産地となり、同時に食糧を輸入するため多額の外貨を費やすようになる。こんな経済成功ストーリーは、いったん為替市場の嵐がおこると吹き飛ばされてしまうもろいものだ。

こんなひどく不安定な光景が自然環境と社会環境を荒廃し、今日の大工業帝国の心臓部にガンとして巣くっている。どうやっても持続可能な状態でないことは、皆よくわかっている。

    「世界の農耕地の約半分が『深刻な土壌荒廃の状態』と国際農業調査が警告」 2000年5月22日Associated Press
    --国連関係機関である国際食糧政策研究所(International Food Policy Research Institute)の科学者たちは、衛生から撮影した地表写真を分析し、世界の農業状況を把握することを試みた。結論は約40%の農耕地が重度に荒廃しているとのことだった。土壌浸食、有機物の損失、土壌の固化、化学物質による汚染、栄養分の消耗、過度の塩化、その他の荒廃により、世界の既存農耕地もしくは農耕地として利用できるはずの土地が農耕不可能になっている。この調査は人間の手による荒廃のみを対象にしたもの。

    「利益のない収穫」 1999年12月18日New Scientist
    -- 戦後の大量投入・集約農業の偉大な功績と言われた低コスト食品というのは幻想だったかもしれない。農業の全体的な損得を計算した詳細な調査によると、汚染を除去するコスト、生息地を修復するコスト、化学農業が引き起こした病気を治癒するコストの合計は、農業の収益とほぼ同額だという。農業生産の真のコストが1ヘクタールあたり208英ポンドという金額は、以前ドイツと米国で行われた調査結果の倍になっている。この調査を主導したエセックス大学環境社会センターのJules Pretty氏は、この金額でさえ控えめな数値だという。環境経済学者たちは、欧州の農業政策を大幅に検討し治す必要があると提言している。
    http://www.newscientist.com/hottopics/
    population/population.jsp?id=22171800
    報告の概要
    http://www2.essex.ac.uk/ces/ResearchProgrammes/
    Externalities/Externsubheadings.htm
    J.N. Pretty, C. Brett, D. Gee, R.E. Hine, C.F. Mason, J.I.L. Morison, H. Raven, M.D. Rayment, G. van der Bijl, An assessment of the total external costs of UK agriculture, Agricultural Systems 65 (2) (2000) pp. 113-136 -- この報告書はこの雑誌から今年2番目に多くダウンロードされた。
    http://www.elsevier.com/inca/publications/store/4/0/5/8/5/1/

    「EUは有機農業でBSE禍を乗り越える」2001年2月13日 (ENS)
    -- BSE(狂牛病)危機に対処するため欧州委員会が発表した7点の計画において、有機農業は主題として取り上げられた。委員会は工業的農業からの別離を呼びかけ、より粗放的な、有機的な農業を提唱している。「もっと自然に調和した農業手法に移行しなければならない必要性をBSE禍が示している」とEU農業委員Franz Fischler氏による提案書は述べている。英国の土壌協会は、有機食品に対する需要は英国で年40%の率で拡大しており、他の欧州諸国でも同じ勢いで増加しているという。
    http://ens.lycos.com/ens/feb2001/2001L-02-13-11.html

    「EU地域全体で有機農業を目指すべき」2001年3月7日 Financial Times
    -- スウェーデンの農業大臣かつEU農業委員会代表であるMargareta Winberg氏は、欧州諸国が大規模な工業農業から離れ、小規模で環境保全的な有機農業を強化するための法制度を整えるべきだと述べている。「私は欧州の農業がより粗放的で、より自然的かつ環境保全的な農業になることを願っている」と氏は述べた。Winberg大臣の指導下、スウェーデンは2005年までに全耕地の20%を有機農場に転換することを目標に掲げている。Winberg氏はEUは地域全域で目標値を掲げ、それに従わない国を名前をあげて非難するべきだと述べている。

    「欧州の農業大臣たちが有機農業を支援」 2001年5月14日 (ENS)
    -- 欧州12カ国の農業大臣たちは、今後2年の間に有機農業および有機農業を促進する欧州実行計画を作成することを宣言した。このコペンハーゲン宣言は欧州における有機農業運動の突破口となるだろうとデンマーク農業大臣は述べている。
    http://ens.lycos.com/ens/may2001/2001L-05-14-05.html

技術を放棄し惨めで未熟な原始的生活に戻るか、破壊された地球で生き延びるか、どちらかしか人類に道はないと考える人は多い。でも私たちはローマ帝国の例に倣って滅びる必要はない。それに「未開」と呼ばれる人たちは惨めでも未熟でもないことは証明されている。未開種族の人たちは長い人生を健康的に全うし、老齢で死ぬまで完璧な歯をそろえて関節炎など知らずに元気に活動していた。 (信じがたい人はW. A. プライス博士の未開人の食事と近代食の調査を読んでから反論してほしい。)

実際、私たちはこんな惨めな「あれかこれか」という選択をする必要はない。「あれもこれも」手に入れることができるのだから。

一方では、工業産業が方向転換し、今まで吐き出してきた汚染を掃除できることはあちこちで実証されるようになった。1987年に「環境」という言葉が突然ニュースの見出しに登場するようになってからは、世論からの圧力が絶えることなく続いている。

それに、私たちの多くが用意された幸せだけに満足する受け身的な消費者大衆だったわけでもなかった。今では数億もの人たちがインターネットに接続し、今までとは違う角度から世の中を学んで、確実に自立に向かった動きを始めている。この流れはもう止まらない。インターネットという道具によって加速はされたけれど、この流れの根元はずっと以前から存在していた。そしてもっとも希望的なことは、子どもたちは環境を大切にすることだ。

もう一方では自然にかえる動きが強まっている。まず考えかたの違いから始まった。都市住民が自然への接点を求め、自分たちの食べ物が来る場所へ近づき、自ら食べる物を育てたいと思うようになった。 ベランダ菜園や屋上菜園、裏庭農場、市民農園などなど、高層ビルに生活しながらもボランタリー・シンプリシティを求め、本当の質に満ちた自立的な生活をしたいと願う人が多くなっている。実際、自給自足的な生活や小さな農場を始める人もいる。

米国では小さな農場の数は毎年2%の率で増えている。第三諸国では農村開発の主流が機械化と(偽りの)規模の経済(大規模化)から、地域の伝統的な土着技術を活かして零細農民を強化する方向に変化している。

将来の景観は、小さな農場と自立した地域社会、自宅で仕事をしホームスクールで子どもを教育しネットワークでつながり、都市部も緑地や菜園に囲まれもう地表のガンではなくなり、地域と環境にマッチした産業と技術---これらによる持続可能な社会の景観になるだろう。

持続可能な農業

「持続可能な農業とみなす基準は、土壌の肥沃さをいつまでも維持する技術を採用した『永続性』という一言にまとめられる」 -- イブ・バルファー『Towards a Sustainable Agriculture -- The Living Soil』

「地力の維持は、いかなる形態であれ恒久農業にとっての第1の条件である」-- アルバート・ハワード『農業聖典』

「有機農は単なる中産階級のホビーではない。より大きな環境運動の一部であり、持続可能な社会のために必須の技術だ。私は有機農なら世界中の人を養うことができると信じている」 -- Jackie Gear, Executive Director, HDRA, Britain's Organic Association

持続可能な農業とは、必ずしも厳密な意味での有機農業ではない。途上国の持続可能な農業者は化学合成物や有機農業では認められていない技術を使うことも多い。

でも大量の化学合成物質を使い機械化され、専門家(単品化)された工業農場より、これらの有機ではないけれど持続可能な農業のほうがずっと進歩している。それに持続可能性を求めると、自然と有機に近づくことが多い。

ただ第三諸国の農村開発の現場においては、有機農法こそがその地に適した「適正技術」だと思う。有機農法は地域社会の要求を満たし、その地で利用できる再生可能な資源を最大限活用し、外部からの投入物を最小限もしくはゼロにすることができるから。適切に行われた有機農法なら高栄養の食べ物を多量生産し、在来の伝統技術とも調和することができる。

このような有機農業はもっとも貴重な資源である土壌の肥沃さを維持・増強し、土壌浸食を防ぎ、生物多様性を高く維持し、環境を汚さない。必要と状況によって、手間暇をかけるかあまり労力を投入しないか選ぶこともできる。このような有機農法はどんな気候条件、地理条件、環境条件、社会条件の所でも採用することができる。そしてそれは住民の健康と栄養を促進し、地域の自立を強める。これこそが未来への道といえるだろう。

手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」の創設者キース・アディソンは第三世界の農民たちのための持続可能なシステムとして有機農法を20年前に修得し活用した。「それ以来学んだことは、すべて有機農法が第三世界にてきした適正技術であることを実証している」とキースは言う。

小さな農場

持続可能な農場は小さい。だけど奥が深い。多様な作物、多様な樹木と多様な家畜。これらの作物と樹木と家畜が、自然の生物多様性にならったパターンにまとまり、自然と協力することで最大の収穫を生み出してくれる。

最大の利益は健康。健康な作物と家畜たち、健康な土壌、そして健康な収穫物。これらが少ないコストですばらしい健康を提供してくれる。

こうした農法は細かい世話が必要なため、それに普通は家族経営か個人の農場であるため、小規模だ。

だけど小さい農場で十分。作物と樹木と家畜の家族農園は十分な食糧と食の安全を家族に提供し、市場や物々交換に出す作物を生産してくれる。大規模な機械化された農場よりずっと大きな収穫があげられる。

タイでは2〜4エーカーの小さな農場が大規模農場より60%多くの米を生産している。台湾では5エーカー以上の農場より1.25エーカー以下の小さな農場のほうが倍近い単位面積(1エーカー)あたりの純利益をあげている。ラテンアメリカでは小さな農場は大規模農場より3〜14倍生産的だ。第三世界中の農村で、小さな農場は単位面積あたり2〜10倍の生産性をあげている。

米国では、27エーカー以下の小規模農場が大規模農場より10倍以上の単位面積あたりの利益 (ドル/エーカー)をあげている。英国では工業的農業の隠れたコストが23億ポンドと計算された。これは農業部門の収益とほとんど同じ金額だ。

米国では、小さな農場は大規模農場の3倍の樹木が農場内にあり、生物多様性が豊かで環境への負荷が少ない。しかも収穫が他品目に分かれているため、1つの商品市場の価格の上下から被害を受けることもない。

大きい方が効率的、生産的という「規模の経済」は工場では機能するかもしれない。でも農業ではそれは幻覚にすぎない。農業経済学は今「農場の規模と生産高に反比例の関係がある」ことを認めている。

    「零細農民や兼業農家は、少なくとも大規模工業的農場経営と同じくらい効率的に生産している。むしろ農場の規模が大きくなるほど非効率になる『逆規模の経済』が実証されている」
    -- 「大規模農場は効率的か?(Are Large Farms More Efficient?)」ミネソタ大学Willis L. Peterson教授。1997年
    http://agecon.lib.umn.edu/mn/p97-02.pdf

工業的な農業自体が幻覚に基づいている。自然による洗練された仕組みに比べると、工業的な技術は劣った代替物であり、必要がない。

作物の栄養素は栄養素であって、肥沃な土壌から供給されようと化学合成物質の形で供給されようと同じだと化学企業は説得するだろう。そして化学分析はそれを実証する。

化学者は有機栽培された作物と化学肥料で栽培された作物とに違いを見つけられないことが多い。だけど動物は知っている。牛は同じ量の牛乳を生産するのに、有機栽培された飼料ならずっと少ない量しか必要としない。多くの農民がこのことに気づいている。「牛は有能な化学者だ」とミズーリの土壌化学者William Albrech氏はいう。「食べ物とは、土壌の肥沃さが形を変えた物だ」とも。

牛の言うことを聞く小さな農民こそが、賢明な農民といえるだろう。

参考文献

「食糧生産に考慮するなら、小さな農場の方が生産性が高い。効率性に考慮するなら、やはり彼らの方が効率良い。貧困問題を考えるなら、土地改革を行って小規模自作農による経済を築くことが明確な解決策となるだろう。小規模農家モデルは経済成長を幅広く支える基盤でもある。生物多様性や農業の持続可能性に考慮するのなら、小さな農場が解決策の必須部分を占めるだろう」-- 食糧と開発のための政策研究所Peter M. Rosset氏「小規模農業の多面的機能とその利益」, FAO/Netherlands, September 1999.
http://www.foodfirst.org/pubs/policybs/pb4.html
概要はこちら「小規模農業の恩恵」:
http://www.foodfirst.org/pubs/backgrdrs/1999/w99v6n4.html

米国農務省の全米小規模農場委員会による報告書"Time to Act", 1998 -- Executive Report Summary:
http://www.reeusda.gov/agsys/smallfarm/report.htm#execsum

「我が国の経済基盤は、アメリカの小規模農民に支えられている。彼らの生存と成功は農民家族だけの問題でなく、アメリカの消費者および地域社会、環境そして世界経済にとっても重要である」米国農務省全米小規模農場委員会代表・元連邦議会議員Harold Volkmer氏のことば。

産業的・工業的な農業が有機農業より多くの収穫量をあげていないことは多くの調査が示している。

有機農業と「慣行」集約農業の収穫を15年間調査した結果、有機農業の方が環境への負担が少ないだけでなく、生産量も利益も同レベルあげることができることが実証された。この調査は有機トウモロコシ栽培が化学肥料と農薬を使って栽培されたトウモロコシと同じ収穫を得られ、かつ有機農業は土壌を大幅に改善したことを示している。 (Drinkwater, L.E., Wagoner, P. & Sarrantonio, M. Legume-based cropping systems have reduced carbon and nitrogen losses. Nature 396, 262-265.)

ロデイル研究所は、有機栽培に切り替えて4年後には有機農業が工業的農業と同レベルの収穫を得ることができることを明らかにしている。

「たとえば米国では、環境保全型農場の上位4分の1は慣行農場より高い収穫をあげている。同時に環境への負荷はずっと低く抑えられている」エセックス大学環境科学センター代表Jules Pretty氏。 "Feeding the world?", SPLICE, August/September 1998, Volume 4 Issue 6.
http://members.tripod.com/~ngin/article2.htm

これから世界の食糧を確保するのは工業的農業でも遺伝子組み替え技術でもないことを示す、新しい調査結果が続々と発表されている。

「有機農法は世界人口を養うための鍵だという事実が、随分長い間抑制されており、今では信じがたいほどになってしまった」「バイオ技術は我々を惑わせた--伝統農法が今でも最適な技術と調査報告」2000年8月24日『ガーディアン紙』
http://www.guardianunlimited.co.uk/Archive/Article/0,4273,4054683,00.html

「有機農業は『世界を養う』ことができる」 -- イギリス放送協会科学番組、1999年9月14日
http://www.purefood.org/Organic/orgfeedworld.cfm

「ワシントン州のリンゴ調査で有機栽培が最高と発表」2001年4月19日ロサンゼルス・タイムズ
--さまざまなリンゴの生産を6年間調査した結果、有機的栽培技術の方が慣行的農業手法より味の良い果実を生産し、より大きな利益をあげていることが明らかにされた。

「より緑な革命」2001年2月3日『ニューサイエンティスト』
「環境活動家がとなえる理想のように聞こえるが、これは事実だ。化学物質の使用を止め自然的な害虫管理と肥料に置き換えるローテクな『持続可能な農業』が、世界中の貧しい農村で収穫量を増加している。しかも多くの農民が70%かそれ以上の増加を実現した。世界の貧しい人たちが生活し働いている現場で実際何がもっとも効果的に機能するのか、そこに基づく新しい科学による革命が広まっている。『持続可能な農業』とは貧しい農民には手の届かない贅沢と思っている人もいるが、実際は現実の必要性に現実の結果をもたらす好ましい科学技術なのだ」
http://www.biotech-info.net/greener_revolution.html

「ごく普通の奇跡(An Ordinary Miracle)」2001年2月3日
-- 52カ国における200以上のプロジェクトを調査した、持続可能な農業に関する世界最大の調査。この調査を主導したエセックス大学環境社会センターのJules Pretty氏は、第三世界における耕地の3%を占める400万人以上の農民が持続可能な農業を行っており、収穫量を平均73%増加させていることを明らかにした。持続可能な農業は零細農民に対してもっとも利益がある。その手法はコストをかけず、地元で利用可能な技術を活用し、環境を改善する。さらに持続可能な農業はもっとも助けを必要としている貧しい農民とその家族--世界の飢餓人口の大部分を占める人たち--を助けているというのが調査を終えたPretty氏のコメントだ。
http://www.biotech-info.net/ordinary_miracle.html

調査の概要はこちら「持続可能な農業で食糧貧困を削減する:新しい証拠のまとめ」Reducing Food Poverty with Sustainable Agriculture: A Summary of New Evidence" Centre for Environment and Society, University of Essex
http://www2.essex.ac.uk/ces/ResearchProgrammes/
SAFEWexecsummfinalreport.htm

各国ごとの調査詳細はこちら「持続可能な農業プロジェクトと挑戦47例」47 Portraits of Sustainable Agriculture Projects and Initiatives Centre for Environment and Society, University of Essex
http://www2.essex.ac.uk/ces/ResearchProgrammes/
SAFEW47casessusag.htm

キューバが世界の有機農業をリード(Cuba Leads the World in Organic Farming) -- キューバは世界でも非常に効率的な有機農業の仕組みを構築したため、他国の有機関係者がこの島国を続々と訪問している。キューバでは有機農業がこの国の膨張した都市人口を養う鍵となっている。
http://www.projectcensored.org/c2001stories/12.html

「ソビエト連邦の崩壊により、1990年、キューバへの穀類、トラクター、農業化学合成物質の安価な供給が途絶えた。たちまち農薬の使用量は半減し、国民が消費できるカロリーも半減してしまった。外貨もないキューバは、ローテクな農業手法を採用するか飢え死にするかの二者択一を迫られた。今日では、牛がトラクターの代わりに活躍し、農民は有機栽培技術を修得してトウモロコシと豆類、キャッサバを混作したりして、収穫量を倍増した。おかげで国民の消費カロリーは1990年以前のレベルに回復している」
「ごく普通の奇跡(An Ordinary Miracle)」2001年2月3日

2000年6月、米国アイオワ州の農民と研究者、学生たちのグループがキューバを訪問し、同国の持続可能な農業への取り組みを視察した。キューバは有機農業に依存しており、堆肥(コンポスト)やミミズを利用して土壌を肥やしていた。「多くの面で、キューバの人たちは私たちの先を行っている」と参加者の一人であるアイオワ州普及員のRichard Wrage氏は述べている。アイオワ州立大学の持続可能農業部門代表のLorna Michael Butler氏は「我々の学生もキューバの有機的な栽培システムを学ぶべきだ」と述べている。-- 2000年6月5日AP

米国の禁輸にも関わらず、キューバは食糧不足の危機に乗じて持続可能な食糧生産システムを構築した。キューバを有機農業の国家的実験例だと呼ぶ人もいる。農薬の輸入は1995年から1998年の間に減少したが、同じ期間に食糧生産量は増加した。革命から40年後の今日、キューバは近代史の中でももっとも多種多様な生産力を誇り多くの国と交易できる実力を備えている。キューバがこの劇的な農業革命を経済危機の最中に実現したことは注目に値する。
-- 2001年7月20日キューバ農業に関するオクスファム報告書
http://www.oxfamamerica.org/cuba
報告書の概要「Cuba: Going Against the Grain」
http://www.oxfamamerica.org/cuba/execsumm.html

有機的に認められた植物性殺虫剤も、米国の有機農業者はほとんど使用していない---その90%以上がいかなる殺虫剤資材も使わずに栽培している。 (Walz, E. 1999, Third Biennial National Organic Farmers' Survey参照。Santa Cruz, CA: Organic Farming Research Foundation http://www.ofrf.org).

「化学的習性を吹っ飛ばそう(Kicking the Chemical Habit)」 食糧と開発のための政策研究所Peter M. Rosset氏。2000年5月
農薬は必須だとか、大規模農場の方が零細農民より効率的だというアグロビジネスの「神話」を正した一文。
http://www.oneworld.org/ni/issue323/kicking.htm

一品種を栽培する近代農業に反して、中国雲南省では単作の田と、さまざまな品種の稲を混ぜて栽培した田とを比較してみた。病気にかかりやすい品種の稲は耐病性の強い稲と混作することにより、被害が94%抑えられ収穫量が89%増加した。混作による効果が大きかったため、2年間のプログラムが終わる頃には殺菌剤の使用はもう不要なほどだった。
-- 「稲における品種多様性と耐病性の強化(Genetic diversity and disease control in rice)2000年8月17日 Nature 406
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/
v406/n6797/full/406718a0_fs.html

マダガスカルのカトリック牧師は米の収穫を1ヘクタールあたり3〜12トン増加するシステムを偶然発見した。その手法とは、苗を早めに少な目に移植し、栽培期間のほとんどを水に浸さず、化学肥料の代わりに堆肥を使うことだった。マダガスカルの農民2万人ほどがこの手法を採用し、中国やインドネシア、カンボジアにおける実験でも米の収穫を増加することができた。
-- 「ごく普通の奇跡(An Ordinary Miracle)」2001年2月3日
"Madagascar non-GE rice trials lead to agricultural revolution":
http://www.gene.ch/genet/2001/Jan/msg00083.html

有機農業の二大創設者といわれるアルバート・ハワードとルドルフ・シュタイナーがそれぞれインドと欧州で有機栽培農法を確立したとき、二人とも環境保護や食の安全が第一目的ではなく、農民が収穫量を増やすことを目指してそれぞれの農法を築き上げたことは注目に値する。

なぜ有機農か? も参照。


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